少年たちの成長の物語 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 第32話
子供はいつか死ぬ。命が絶えるということもあるが、子供としての子供らしさが死ぬ(=大人になる)ということでもある。
鉄華団の少年兵は良く戦った。見てる方まで疲れる戦いだった。
その中で、死ぬことを恐れなかったアストンが、死にたくないと言いながら死んだ。家族ができ、守りたい仲間ができ、その一番の仲間であり家族を守って死んだ。
家族を守れなかったタカキは、そのけじめとして、かつては家族の一員として信じていた元仲間であり元凶の一人を、自分の意思で殺した。その瞬間、タカキは自身の甘さを殺し、子供らしさを殺してしまった。
対照的に、大人も二人死んだ。守るべき仁義を破り契約相手を危険にさらして死んだ大人と、仁義を守って自害した大人だ。子供たちがいずれの大人にもなって欲しくない。
タイムライン上でタカキの死を知た。その後に
アストンの死を見てくる
と言って32話を見始めたのだが、認識が甘かった。そして言い換えなければなるまい。
アストンの命が消え、タカキの子供らしさが死んだ
と。
「広告業界という無法地帯」の議論
あまりにも発想が幼稚すぎて最後まで読めなかった。読めた箇所までで議論しよう。
自社の工場を動かす会社なら、製造量を制限して「はい、ここまで」と電気を消して、社員を帰らせれば済むかもしれない。
まず、製造業を舐めていて気分が悪かった。僕は製造業には所属していないが、製造業だって一つのミスや納期の遅れで数億円の損失が出ることじゃあるんじゃなかろうか。それに、製造業って物を作ってハイ終わりじゃないんだよ。
僕がいた頃でも、「残業は月○○時間まで」、「夜十時以降の残業をする際は、上長の承認を事前に受けること」などといった非現実的な規則が導入されていった。夜九時に営業から電話があって、「あの件、変更になった! 明日までに代案を出せって!」と言われたりしたなら、「上長の許可が得られませんので対応できません」と答えろとでも言うのだろうか。それを営業はクライアントにどのように伝えるというのか。また、営業は、そう言うコピーライターに次に仕事を頼みたいだろうか。
事案が変更になったら、代案を出すには時間がかかり、翌日にはできないのは当たり前。営業ができると言うからクライアントがつけあがる。それだけじゃん、ハイ終わり。ほんと、これで終わりなんだよ。
広告業をライフラインか何かと勘違いしてるんじゃなかろうか。広告で人は死なない。一方、電気が長期間止まったら人が死ぬ。だから、大震災等で大規模な停電が起きたら必要に応じて非常用電源等の設計をしているし、復旧のためには社を超えての応援体制が構築されている。これが、リスクマネジメントというやつだ。
プロジェクトや事業が失敗しないようにリスクマネジメントするのが上司の役目で、いろんな安全係数をかけて人員配置するのも上司の役目で、それでコストが上がってもしょうがなくて、最後にプロジェクトがぽしゃったら責任取るのは上司の役目なんだが、電通にはそういう意味での上司はいないようだ。これは僕の予想だけれど、事業が失敗しても本当に人が死ぬわけじゃないから、本当のリスクマネジメントを学ぶ機会がなかったんじゃないだろうか、と。
労働基準を無視してまで働いて良いのはごく一部の知的労働者だけだ。多分、コピーライターはこの知的労働者に入るのだろう。ただ、多くの一般社員(サラリーマン)が労働基準を無視するのはもってのほかだし、裁量労働制になっている知的労働者であったとしても命を削って行うほど仕事には価値はない。
仕事はあくまでも仕事だ。人を殺しても優先される仕事などというのは絶対にない。これは、いかなる業種、業界においても絶対にない。100億円の案件が吹っ飛ぼうが、命より大切なものはどこにもない。
大手企業がこんなだから日本が暗くなるんだろう。昔みたいに社会全体が成長を続けていたなら、こういう働き方もありだったのかもしれない。しかし、今の日本は昔のように大きな成長を見込めない。むしろ経済規模は縮小する傾向にある。そんな中でこの働き方は無理だ。夢も希望もない。
こんなのを子供たちが見たらどう思うのか、絶望しか感じないと思うんだが、エリートの方々は目先の利益だけを考えずに、もっと将来を見据えてくれませんかね。子供たちは、ちゃんと見てますよ。子供たちが夢を見て希望を持てる社会、それを描くのが広告業の務めの一つではありませんか。
QCCSとは (機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ)
QCCS、英語表記だとQuantom Cryptography Communication System。
訳すと量子暗号通信システムだろうか。
量子暗号とは、量子力学の原理を使って通信経路上での盗聴や改ざんを原理的に必ず検出できる(=完全に秘匿できる)秘密通信技術の一つである。
現在の技術では通信経路長に制限があり、光ファイバーだと百キロオーダー、大気の密度の低い上空で400kmだそうだ。
真空度が高ければ原理的には長距離通信も可能なはずで、鉄華団とテイワズとの通信等で使われているように、火星-木星間も夢ではないと思う。ただ、通信経路上は安全というだけで受信機・送信機・中継器で盗聴・改ざんされる可能性は十分ある。ゆえにシステム全体が安全かどうかは別問題である。
さらに、経路上での光子の反応(損失)が一定以上あれば通信は成立しない。地上で専用線ありきの通信ならともかく、宇宙で軍事目的に使う場合はかなり妨害しやすい通信方式と言えるだろう。
アニメなのでその辺はうまいことやっている設定なのだろうが。
以下、現実の技術になるべく準拠するように解釈した、作中での設定(の妄想)を述べる。
QCCSの対義語としてLCS (Laser Communication System) というのがあり、可視光レーザーを使う通信のようだ。暗号通信も可能だが経路上の盗聴・改ざんは原理的に防ぐことはできない。セキュリティの弱い通信方式として扱われている模様。敵との通信はこのLCSを通じて暗号化せずに行っているのだろう。
対して量子暗号の場合、送信側と受信側で事前に乱数表を交換しておかなければならない。この手段はおそらく直接的な接触によるものである可能性が高い。なぜならば、乱数表の長さは通信の長さと同等であり、QCCSの通信で乱数表を送るということは原理上不可能であるからである。郵送で送る手もないわけではないだろうが、途中で紛失する可能性を考えると直接会った時に交換するのが望ましいはずである。
つまり、QCCSで通信しているのは、面識が有り一定の信頼がおける相手との通信であると言える。乱数表が流出してしまえば通信相手が偽装されてしまう恐れがあるので、信頼できない相手と乱数表を交換はしないだろう。
27話で鉄華団とテイワズのマクマード・バリストンがQCCSで通信しているということはそういう間柄になったということだし、ノブリス・ゴルドンとマクマードがQCCSで通信しているということは事前にQCCSを使う可能性を想定していたという推測が成り立つ。
30話からの地球支部と火星の本部で連絡が取れていない問題は、QCCSの乱数表を管理していたのがラディーチェ・リロトという監査役とチャド・チャダーンだけであり、チャドがいなくなってからはラディーチェにしか火星と通信ができない状態になったところに原因がある。
情報戦がストーリーの鍵になっているため、QCCSの特殊な通信手法による前提条件も、劇を成立させるために必要不可欠な役割を果たしていたと言えよう。
画像は27話より
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以降、詳細な解説をつけないが事実だけ
39話 セブンスターズのイオク・クジャンとテイワズのジャスレイ・ドノミコルスとの通信は不明
39話 タービンズの名瀬・タービンと鉄華団のオルガ・イツカはQCCS
40話 テイワズのマクマード・バリストンとタービンズの名瀬・タービンとはLCS
41話 鉄華団のオルガ・イツカとセブンスターズのマクギリス・ファリドとは不明
燃料は記憶 ~革命機ヴァルヴレイヴ~
というアニメを見た備忘録を書いておく。
主人公が登場する過程について
最後まで見たが故に、理解できなかった。
主人公が通う学校、都市は全て軍事用に設計されたものだった。主人公たちは遺伝子操作でうまいことヴァルヴレイヴ(以下VVV)に乗れるようになっていたし、都市に住む人達は軍属だったという。
VVVは主人公が通う学校の生徒達が登場すること"しか"想定していないシステムだ。他の登場者が乗ると動かせないどころか殺されてしまう凶悪システムであり、主人公たちは一切の訓練なく乗れてしまうのみならず、乗るために必要なのはニンゲンヤメマスカの問にYESを押すだけなのだ。
激昂した主人公たちが勢いに任せて乗ることを想定したシステムを誰が何のためにVVVをあの都市や学校を含めて作り上げたのか、それは最後まで謎のままであった。
ただし、民間人なのになぜかロボットを操作できてしまうとか、逆に軍人だからロボットに乗るのは当たり前だとか、そういうアニメの世界では一般的な搭乗シーンでなかった。特性があり理由があり必然もあったことは確かだが、原因だけは分からなかった。ちょっと残念である。
VVVの動作原理について
この記事のタイトルにあるようにVVVの燃料は人の記憶であるという。脳に、つまりは神経細胞のネットワークに刻まれた記憶を燃料に動くのだ。想像を膨らませれば、神経細胞のネットワークのエントロピーが燃料で、それを解(ほど)きまくるとすべての記憶がリセットされる。最終的に生命活動に必要な領域もリセットされて死に至るということなのだろうか。
ロボットアニメにおける主人公機の燃料は、ガンダム系だとなんとか粒子、その他だと人の寿命や体の機能を代償にというのはあるけれど、人の記憶に着目したVVVは新しい発想だった。
もう一つ分かりやすい機能は100を超えると動作を停止してしまう熱暴走抑止機能だろうか。現実社会でこんな短時間で放熱ができずに機能を停止してしまう装置を作ったら、熱設計の担当者はクビになると思うのだが、25分アニメの枠内でメリハリを付けた戦闘をするために、熱設計の担当者は脚本家に消されたということなんだろう。
666については最後まで投げっぱなしだったが、それは見なかったことにしようか。
総評
ネットで賛否があるというのは聞いていたし、つまりアンチが多いということなのであまり期待はしていなかったのだが、思いのほかよくできたアニメだった。ストーリー展開や伏線の張り方はめちゃくちゃだけれど、制作側が伝えたかったことは多分そこではない。新鮮さ、そしてカッコイイロボット、現代のツールと融合した世界、その他色々を伝えたかったのだだろう。1話ごとのストーリーはめちゃくちゃなので毎週1話ずつ見ていた人たちは少し可哀想になるが、一気に見るのには向いているアニメだと思う。未視聴の人はぜひ一度、既視聴の人は忘れた頃にもう一度、イッキ見をしてはどうだろうか。
では。